無題短編小説A あとがきと解説

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再び、最後までお読みいただいた方々、大変ありがとうございました。
去年の末からやってみたいなあと考えだして、1月中旬より計画して未熟ななりにも完成させてみようと力を注いだ結果、この始末です(笑

さも違う世界と思わせつつ、実は単なる高校生のお話。
誰しもが日常で頻繁に起こりうる小さな「失望と希望」ということを題材にしてみようと考えておりました。
父親の失踪は日常ではありませんが、主人公の失望感がいまいち出せなかったので無理矢理ねじ込みました(汗

不平不満や失望が重なると自暴自棄になっちゃいます。
殻に閉じこもっちゃう事もあるでしょう。
「どうせ私は一人なんだっ」とイジイジしちゃうかもしれません。
でも必ず友人や恋人、家族や恩師など心配してくれる人、気にかけて助けようとしてくれる人はいるのです。
そういう人がいることに気づき、感謝しましょう!と、おおざっぱに言うとそんな話です。
「私は天涯孤独の身だからそんなやついねーよっ!」っておっしゃる方は明日から人にやさしくなりましょう、私も一緒です(笑

しかし創作するというのはとても大変なんですね。
ストーリーを考えてとのシーンをどんな風に見せてイラスト描くか、なんて思った異常にエネルギーを消費しました(苦)
大変でも、これを気にもっと楽しめればと思います。
次回も何か書き描きしたいと思いますので、よろしければ見てやってください。

下記からは解説になります。
長文になっちゃったのでお時間あるときにでもお読み頂ければと思います。


------解説------

心理学者ユングの「集合的無意識」を独自解釈してみました。

現実世界は正常に生活している人間の、ユングのとく集合的無意識内で交錯した人間模様です。
シディームでの世界は集合的無意識内なので本人たちには自覚はありません。
現実世界での一瞬が、無意識内では長時間となったりします。

 父親が失踪したことで失望し、悲観的な負のスパイラルに陥ってしまった主人公「サトル」のお話です。
普通の高校生であるサトルは上記のように失望し、自分の殻に閉じこもってしまいます。
そして堕ちるようにその精神は「シディーム」という都市に迷い込みます。

 この「シディーム」はいつからあるのかわからない(きっと初めて人間が失望を感じたときから)集合的無意識内で作られた都市です。
何かしらに失望し、殻に閉じこもってしまった人が堕ちてしまう世界です。
そこは自分の殻に閉じこもっていれば誰も何も干渉してきこず、何もしなくてよいので何かに失望することもない、しかし何も生み出されない、グレーな世界でただ生きているだけ=死を待つだけ=自殺行為で、住んでいる人も街も緩やかな死=緩慢な退廃が進んでいるという設定です。

 しかし作中、市場ではさまざまな人々が他の人に干渉しようとしています。
そういう人は現実世界で更なる不満や失望を受けて精神を圧迫し、殻に閉じこもるためのシディーム内で攻撃的になっていきます。
その場合、干渉しやすい場所=人や物が多く集まる場所のネデ広場の市場でお互い干渉しあって現実世界のみならず無意識内でも失望を繰りかえし、いずれ絶望という集合的無意識内の違う世界に堕ちていくのです。

 もちろん絶望に堕ちるだけでなく主人公のように希望を見つけてシディーム内から脱出する人もいます。
失踪したあいつも希望に満ちた笑顔を浮かべることができたのは、市場で何かしらの生きる希望を見つけたからシディーム内から脱出した一人でしょう。

 市場で現れる少女は、Ⅳで出てくる竹内です。
彼女はサトルと同学年で同じ書道部の部長も勤める友人です。
以前から密かにサトルに恋心をいだいている竹内は、父親失踪により傷ついて殻に閉じこもってしまったサトルをなんとか励まそうと奮闘しますが、サトルは全く異に介しません。
のれんに腕押し状態が続きますが、竹内はなんとしてもサトルを元気づけたいと強く想います。
その想いは集合的無意識内に無数に存在する世界からシディームを、人口数億ともいわれる人の山からサトルを見つけます。
すでに彼女の心は恋心でなく愛に変わっていたからそんなとんでもないことが可能だったのです。

 殻に閉じこもったサトルは父親失踪の痛みから逃れる為現実世界の記憶はありません。
痛みの記憶を蘇らせたくないので、都合の悪い言葉は自分からノイズで消してしまいます。
しかし竹内の悲痛な声がサトルを正気に戻らせシディーム内から脱出させるのです。

 無意識内で起こったことなので、二人はその記憶がありません。しかしシディーム内から脱出したサトルの心は今までのように悲観的な考えは無く、母親や失踪した父親に対しても気にかけるようになっています。

 Ⅳの途中から竹内との出会いは、Ⅱの市場に入ってから少女に会うまでと同じようなシチュエーションにしてデジャブにしようとした結果、いまいちリンクできなかったです(笑)
し、しかしそれがサトルに一瞬の記憶を蘇らせるきっかけになって竹内がシディーム内で助けに来てくれたことを理解します。
記憶はすぐになくなってしまいますが、それでも感謝の気持ちだけは残ったのですね。
そして今まで励まし続けてくれた彼女の行動と爛々と輝く瞳と桃色の頬から竹内の気持ち、今自分が彼女に対して持っている気持ちを悟るわけです。

「君を見つけた」の君は=希望です。
失望したサトルは前を向いて歩く希望を見つけたのです。
彼女の愛がそうさせたのです。
彼女の漆黒の瞳の奥に愛が宿っているのです。

 これは愛の物語なのです(笑)

 ちなみに「シディーム」とは旧約聖書の神に滅ばされたソドムとゴモラが沈んだといわれる死海がある「シディムの谷」からとっています。
ネデ広場はEden(エデン)を逆から読んだもの(Nede)です。
 
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2013-02-15 : 無題短編小説 : コメント : 6 : トラックバック : 0
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非公開コメント

こんにちは(^^)
初連載お疲れ様でした!
「Ⅰ」ではすっかり、「あいつ」を探した度をするSFだと思っていたのに、これは「愛」の物語だったのですね、まさに!

単なる「心の中の世界」ではなく、「集合的無意識」という世界がこのお話しに独創性を与えていると思います。
個人の心の中だけの世界だったら、干渉し合ったりする事も余りなさそうだけれど、集合的無意識だったら、逆に干渉し合う事で墜とし合う事も可能なのかもしれない。

Ⅱで登場した竹内が仮面を被っていたのは、現実世界で、彼女の助けを意に介さず、拒絶していたサトルの心の反映なのかな、と思いました。
そして竹内の光のような、力強い愛の力が、サトルを現実世界へ導いてくれたのですね。これは、シディーム内で、攻撃的になる事で保身に走るそれと真逆の力のように思いました。
美人で、優しくて、何よりも包容力のある竹内。サトルにとって彼女はまさに「希望」ですね^^
SF的始まりから、普遍的な愛のお話しへの着地点、とても意外性があり、またおもしろかったです^^
次の新連載も楽しみにお待ちしております^^


2013-02-15 21:19 : canaria URL : 編集
No title
連載お疲れ様でした!
なるほど・・・初めの時から主人公の世界ではなかったのですね・・・
そういう世界だからこそ、悲観的というかそういう見方をするような世界だったのですねー・・・
私日本語下手くそか!すいません、頑張って解釈してくださいw(ヲイ

もしシディームの人たちがみんな幸せになるようなことがあったら、それは一斉解放とシディームの死なのですね。

ハッピーエンドでよかった!w
納得で凄く気持ちいいです!
すてきなさくひんをありがとうございました♪

2013-02-16 13:25 : ラル URL : 編集
canariaさん
コメントありがとうございます^^

陳腐かもしれませんが「希望」や「愛」を信じたいこの頃なのでそんな話を作ってみたかったのです。

拒絶していたサトルの心の反映なのかな>>深い読みをされるのでそうとも考えられますね!
設定では、愛あふれる竹内の精神では失望の街「シディーム」に入ることを拒否されるので、さも失望しているようにカモフラージュする為に泣き顔ピエロの仮面を被っていたのです。
何とか潜り込んだのですが、すぐに拒絶されて追い出されちゃったんですね。
それがⅢの最後の宙に浮かんで消えていくシーンです。

人の感じ方が違うのでご意見いただくのは凄く楽しいのもですね!
2013-02-16 21:01 : 泉坂 URL : 編集
ラルさん
コメントありがとうございます^^

ラルさんのおっしゃる通り、みんながお互いを信じ合い、誠実であるならば失望の世界は崩壊するのでしょうね!

愛が溢れるような世界が訪れるといいのになあ、って思います。

2013-02-16 21:06 : 泉坂 URL : 編集
No title
初連載お疲れ様でした!ぼちぼちと読ませて頂きました^^

中高校生って、体は大人だけど思い描くイメージは非現実的で(こういうのを中二病っていうのでしょうかw)
無意識の世界を異世界としているのが、思春期の不安定さを如実に表しているような気がしました。
この集合的無意識の世界は、人によって見え方が違うのでしょうね。

解釈を個人の想像に任せて縛らない面白さにワクワクしました^^

愛はというテーマはありきたりといっちゃありきたりですが、やっぱり物語には欠かせないですよね。
愛の表現方法もその作家さんの個性がよく出るような気がします♪
2013-02-18 00:27 : 幸坊 URL : 編集
幸坊さん
コメントありがとうございます^^

主人公は集合的無意識を色のない世界として捉えているけれど、他の人は闇の中だったり現実を忘れるためにきらびやかな幻を作ってしまってたりするかもしれないですね。

自分なりの愛の表現をしてみたいですんですが、もとより愛がない人間ゆえに「愛って何だー!」ってたまに叫びます(笑)
2013-02-18 23:16 : 泉坂 URL : 編集
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プロフィール

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Author:泉 坂
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