Made Again 12 (下へ)

約一年ぶりの続き

前回まではここ

ざっくりとあらすじ

部屋でうたた寝をしていた女。
目が覚めると暗闇の洞窟で倒れていた。
謎の声と不気味な音に追い立てられて彼女は逃げ出した。
洞窟から抜け出すとそこは荒野であった。
洞窟からは煙が溢れ、あやふやな形となってさらに彼女を追いかけた。
彼女は目に留まった異形の建築物へ逃げた。
その建築物の奥の部屋に入ると、見覚えのある酒場であった。
追いかけてきた煙と対峙した。
あやふやでかみ合わない会話が続いたあとで、室内にあったアンプから声が聞こえた。
彼女は助けを求めてアンプに飛びついた。
アンプは砕け、内部の真空管に彼女は吸い込まれた。
煙は膨張して真空管を優しく包み込み世界を取り込む。

〜巨大な塔編〜
真空管に取り込まれた彼女はすべて分解され、再び構築されて違う場所に辿り着いた。
そこは巨大な塔の廊下であった。
目が覚めるとラジオに手足が生えたような者が彼女を介抱していた。
その者はスティーブと名乗った。
スティーブは記憶を失くしていた。
彼女も記憶を失くしていたが、マリーと仮の名を名乗った。

二人は出口を求めて暗闇の通路進んだ。
途中でランタンを持った老人三人組と出会った。

あらすじを呼んで気になった方は以下続きをどうぞ。
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 二人組の先頭にいた老人がランタンの光をマリーの顔に向けた。
マリーはまぶしくて片手で光をさえぎり、片足を半歩さげて少し身構えた。
スティーブはマリーの後ろに隠れていた。
先頭の老人は長い眉毛と髭を蓄えており仙人のような風貌をしていた。
「思ったより早く発見したもんじゃな。さっさとつれて帰ろう。」
その老人はもう一人に言った。
「えーと、お前さんと、後ろの小さいのと二人かな?」
マリーたちに話しかけた
突然現れた二人の老人に連れて帰ると言われて戸惑った。
マリーは警戒心をとかずに不遜な態度言った。
「あなたたちは…誰ですか?」
自分達がさ迷っているという不利な状況を気取られないようにするにはこれが精一杯だった。
「ええんじゃ、ええんじゃ、怖がらなくても。記憶がないんじゃろ?ここがどこかわからないんじゃろ?
ココに来たもんはみんなそうなんじゃ。」
先頭の老人は孫を諭すかのようなやわらかい声で、うん、うんとうなずいて言った。
「ワシらもそうだったんじゃ。もう何年も前のことだで。」
長く伸びた眉毛と髭で表情は読み取れないが、ニカッっと笑ったように見えた。
「こんな暗くてほこりっぽいところは早くでよう。さあ、おいで。」
そう言って踵を返して歩きだした。
「ねえ、マリー。どっちみちココにいてても仕方ないよ。とりあえず彼らについていこう。現状を把握するにはそれが最善だと思うよ。」
いつの間にかマリーの肩によじ登ったスティーブが囁いた。
「OK。それよりこのまま私の肩にのったままなの?」
不機嫌そうなマリーの質問にスティーブは聞こえない振りをした。


「さきほどはみんな記憶がないとおっしゃられていましたが、他にも私たちみたいに記憶がない人がたくさんいるという意味ですか?」
老人達が照らした弱い光を追いかけながらマリーは少し低い声で尋ねた。
「そうじゃよ、言葉通りみんなじゃ。ここに来たものはみんな、過去の記憶がないんじゃよ。」
「全員、ですか。みんな何かしらの原因で記憶を消されここに連れてこられた、ということでしょうか?そしてここはいったいどこなんですか?」
「ここは第109自治政府が管理している「23番受け入れ管理塔」じゃよ。政府発表では、塔の上層部は異なる世界からの転送先になっていて、みんなどこかの世界からコチラに転送してきたんだと。そして転送時における肉体の分解から再構築の際に記憶喪失の後遺症が発生するということらしい。ただ、異なる世界がどんなところか、どうやって転送されてきたのか、それは政府にもわからんそうじゃ。」
はじめから用意していたような説明を淡々と話した。
「詳しいことが聞きたかったら、一階の窓口で仮移民登録をしてもらう時に担当者に聞いてみな。」
「仮移民登録?」
「そうじゃよ。塔での登録は仮じゃから、30日以内に最寄の街の役所で本登録して移民証明書をもらいな。
それがあんたの身分証明書になるからな。配給、宿、仕事の紹介などで提示する大切なもんだからな。」
「はあ、そうですか。」
受け入れという名が付いているだけあって、現れた者はすぐに管理下に置いて保護をするシステムか。非常に効率が良いとはいえ塔の一階に受け入れ窓口を設置しているとは、現在歩いている古代遺跡の通路を連想させるこの廊下からは想像もつかなかった。
「あなたはなぜ私たちを案内するのですか?」
「それが仕事だからじゃよ。この塔は1階のみ外と自由に行き来できるが2階以上に上がるための階段やらエレベータの扉が固く閉じていて自由に開けることができない。
しかし1日になんどか、無数にある階段かエレベーターのどれかが開いて上層階に登れる。しかし行ける階はひとつだけ。
そこに行くとお前さんたちのような者がおる。
そんな者たちを保護して下に案内するのがワシらの仕事じゃ。
そして一階の窓口で仮移民登録をすれば、晴れてこの世界の一員じゃよ。わすれるな、30日以内に本登録をするんじゃぞ。」
「日に何度かって言ってたけど、そんなに頻繁に僕たち見ないな人が塔に現れるのかい?」
スティーブが尋ねた。
「そうじゃよ、おチビさん。一日平均30人ぐらいが塔で保護して受け入れている。」
結構な数だと驚いてマリーとスティーブは声を上げた。
それを察したのか老人は付け加えた。
「ちなみにこの自治政府内では、受け入れ塔は205もあってここは23番目じゃ。どこも一日平均30〜40名を受け入れるから全体で一日700名ほどが移民として登録されることになるわな。」

老人の話が終わるころには口を開けたエレベータ前に着いていた。
大人が5人ほどしか乗れない小さなエレベータだ。
全員エレベータに乗り込むと勝手に扉は閉まり、下降を始めた。
かなりの降下速度を感じてマリーたちは不安になったが、数秒たらずで速度は弱まり一階で停止した。
音もなく扉が開き一階に足を踏み入れると、いままでとは違った光景にマリーたちは驚いた

続く

made_again_012.jpg
2016-04-07 : Made Again : コメント : 2 : トラックバック : 0
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非公開コメント

No title
こんにちは。
追いつきましたー!
前回は絵の解説ありがとうございます!
ほんとだ、気付かなかったんですけど、よく見てみると足の
線が描かれているのですね。
そのあとマリーは再構築されて今に至るので、あの血の出来事は
非常に象徴的な事柄のように思えました。
スティーブと会ってからマリーはなんとなく前向きになったように感じられます。
少しずつ明らかになっていくこの世界のことですが、
引き続き楽しみにしております……!
2016-04-14 11:29 : canaria URL : 編集
canariaさん
すべて読んで頂きありがとうございます^^

あるきっかけでちょっとおかしな世界に入り込んだマリー。

スティーブと出会ったまだよくわからない世界でちょっとした冒険を展開していきたいと考えております。

その先でホラー色の強かった部分を小出しにしていきながら、細々と書いていきます(笑

かなり先まで構想を練っていたんですが、仕事やなんやらでどんどんやる気がそがれてしまい全く手をつけておりませんでした。

しかしcanaria さんの連載を読んでいると、なんだか私もふつふつとやる気がでてきました。

こつこつ続けていきますので暇な時にでも読んでくださいm(_ _)m
2016-04-14 23:08 : 泉 坂 URL : 編集
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プロフィール

泉 坂

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