Made Again 01 (Fairies Wears Boots)

日曜の昼下がり、友人のサリーとランチ兼ショッピングを楽しんでから自宅に戻り、一息入れる為にお気に入りのシナモンティーを入れる。
今日のシナモンティーは先ほどのショッピングで手に入れた特性スパイス入りのスペシャルだ。
カップを鼻に近づけて香りを吸い込こんだ後、少し口に含ませた。
香りはいつもと変わらないが味に甘みが増したような気がする。
「うん、なかなか良くできている。」
満足げにうなずくと窓際のソファに座り、ラジオをいつものチャンネルに合わせて途中だったバラードの本の続きを読みはじめた。

小一時間程するとあたたかな日差しのせいか、体がすこし気だるくなってきた。
その心地よいふんわりとした気だるさを受け入れる。
とろけるように瞼が下がってきたころ、床に何か動くものがあった。
また窓から「愛くるしい侵入者」黒猫のスキャットがやってきたようだ。
隣人のペットであるスキャットはベランダづたいに窓から侵入しては読書中の私の膝の上にのぼって惰眠をむさぼる。
そんな私は「しょーがないわね」とため息をつきつつも内心は来てくれることをおおいに歓迎していた。
しかし、いつもはまっしぐらに膝にのぼってくるのになかなか登ってこない。
あやふやな焦点をその動くものにあわせると、スキャットでは無く人が立っていた。
スキャットよりも一回り小さい人…小人だ。
小人はひび割れたブーツを履いていた。

唖然とした私をにっこりと見つめ返して立っている。
私は夢でも見ているのだろうかと思った矢先、ラジオのチャンネルが変わった。
ラジオに目を向けるともう一人の小人が懸命にラジオのダイヤルを回していた。
私は言葉にならない声をだし、信じがたい光景に唖然としているだけだった。
チャンネルを合わせられたのか雑音ばかりだったラジオからは昔どこかで聞いたことがある古いカントリーの曲が流れ出した。

小人は満足そうな笑顔を浮かべ曲に合わせて足でリズムをとりだした。
トントントントン。
するとラジオの後ろから一人、また一人と小人が飛び出して来た。
床に立っていた小人を合わせると総勢5人の小人が私の前に集まって曲に合わせて踊りだす。

made_again_01_01.jpg


突飛な光景にもかかわらず、私は思わずクスクス笑いだしてしまった。
なぜなら、みんな笑顔で自信満々に踊っているのだがまったくリズムがあっていない。
そもそもそれがダンスなのかと言いたくなる程ハチャメチャで、ドタバタしている子供のようでかわいらしい。
とにかくその滑稽でかわいらしいダンスは私の笑いを止められないものにしてしまった。
まったくとても楽しくて素敵なダンス。
「いっそいっしょに踊ろうかしらん?」
なんて思っていると、いつの間にか5本の不思議なリボンが私の体に巻き付いていた。
そのリボンのせいなのか浮いているような感覚がして、時にはゆっくり、時には激しく私の体を動かしている。
驚きの体験だが不思議な乗り物にのっているようで楽しくなってきた。
私は夢を見ているの?それとも違う世界に来てしまったのかしら?
そんなことを考えながら浮遊感に身をまかせる。
しだいに体の揺れが大きくなると小人達のダンスも激しくなり、みんなうめき声まで上げだした。
それがまたおかしくてお腹を抱えて笑い出す。

ドタバタドタバタ、クスクスアハアハ、ドタバタドタバタ、オオオ〜アアア〜
ギシギシガタガタ、キャハハハキャハハハ、ギシギシガタガタ、ハアハアオオオ〜

突然、体の揺れが突然止まって小人達もダンスを止めた。
こちらをじっと見つめている。
そんな姿が間が抜けているようでおかしくて仕方がない。

その時、小人の一人が私にカラフルな包み紙のキャンディーを放り投げてきた。
他の小人たちもいっしょになってキャンディーを放り投げる。
赤や黄色やピンク色、青、紫、オレンジと、小人の手からわき出すように現れた。
一通りキャンディーを投げ終えた小人たちは思い出したかのように踊りだした。
小人の一人がキャンディーを一つ摘み、ポップなフォントで「welcome」と書かれたカラフルな包装をむいて私の口の中に掘り込んだ。
びっくりして吐き出そうとしたが、いままで味わったことのないとろけるような甘さが口一杯に広がってほっぺが落ちないように頬を両手でおさえた。
それが引き金だったのか心地よい浮遊感がなくなり、私の周りは遊園地のコーヒーカップのようにぐるぐる回りだした。
私が回っているんじゃない、この部屋が回っているのだ。
異常な出来事に恐怖を感じた私は体を丸め、耳をふさいで大声で叫んだ。
「助けてー!」
すると額に何かが当たった。
驚いて目を開くと部屋はぐるぐる回っていなかったが、今度はどちらが床か天井かもわからないぐらいぐにゃりと歪んでゆるやかに波打っている。
私の三半規管はすでに限界を越えており、なにも考えられないまま急速に意識が遠のいていく。

消えそうな意識の中で小人達のリズムのずれたブーツを鳴らす音が聞こえていた。

続く
2013-09-23 : Made Again : コメント : 2 : トラックバック : 0
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No title
こんばんは。幻想的でかわいいストリーですね!主人公と小人さんのイメージがクリアになって読むにしたがってどんどん入り込んでいく自分を感じました。文章と絵のバランスがぴったりでこれはもう上質の絵本。
つづき、楽しみにしております!
2013-10-03 19:01 : 日咲 URL : 編集
日咲さん
コメントありがとうございます^^

文章と絵のバランスがぴったり>>

もうたいへんなお褒めのお言葉、素直に受け取らせていただきます(笑

なんとか一話目を書かせていただきましたが、すでに次回に対して四苦八苦しております…

どんどん話を進めていくことはできませんが、気なが〜に読みすすめてくださいまし^^
2013-10-03 22:42 : 泉 坂 URL : 編集
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