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Made Again 03 (architecture,Spiral Architect)

10ヶ月ぶりの続き、諸事情により三人称に変更。
お時間ある方は読み返してみて下さい。

Made Again 01 (Fairies Wears Boots)

Made Again 02 (Runaway)

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 彼女は懸命に駆けながら前方の異様な建造物を眺めた。
その大きさは10階建てのビルくらいはあるであろうかなりの大きさだ。
他には何も目につくものはないのでとにかくそこに向かうしかない。

洞穴から飛び出して転倒した際に打ち付けた膝がずきずき痛んだが、どこかに隠れなければならなかった。
振り向いてあの煙が追って来ているのを確認する暇も惜しい。
近づくにつれその建物ははっきりと人の形をしていた。
それを人とするならば、その瞳はうつろで私の後方を力なく見つめている。

よく見ると階段状になっている部分の上段、胸(のように見える)の中央に入り口らしいものが見えている。
とにかくあそこまで辿りつければ一時的に身を隠せるだろう。
そして息を整えてこの理不尽な状況を再度確認する必要がある、彼女はまだ夢であって欲しいとの希望を捨ててはいなかった。

階段を駆け上がると、胸の空洞はその大きさ、形からしてこの建物の入り口だとはっきりわかった。
入り口の奥は暗く、先ほどまでいた洞穴を思わせたが選択肢は他にない。
入り口に飛び込んですぐにそばの壁に張り付き、呼吸をを整えようと肩で呼吸をする。
かなり暗いが漆黒の闇ではなかったのは幸いだ。
そっと片目で外を見ると、あの煙は洞穴とこの建物との中間の距離にいた。
これから身を隠すには十分のアドバンテージだ。

少し呼吸が楽になったところで目が暗さに慣れてきた。
壁も床もタイル張りされた通路になっており明らかに人の手が加えられたものだ。
通路の奥に微かな光が見えた。
身を隠すための場所を探すために建物の奥に進む。
50メートルほど歩いたところに少し開いた扉がありそこから光が漏れていた。

一度後ろを振り返ってあの煙が追いついていないことを確認してからゆっくり扉を押し開けた。

そこには幾つかのテーブルと椅子が無造作に配置されならんでおり、カウンターの上と奥の壁には名前もよくわからないボトルがたくさん並んでいる。
中央のスペースにはこの部屋の主人とばかりにビリヤード台がどんと鎮座していた。
外観からはとても似つかわしくない。
ゆっくりと室内に入り辺りを見回してみると、どこかで見覚えがある気がしてきた。

「どうなってるのよ、ここは…パブだわ、でもなんでこんな所に…。しかしどこかで見たことがあるわ。」

異様な世界とは違う、幾分見知ったことのある光景に少し安堵したがまだ安心できる状況ではない。

「一度来たことがあるわ。繁華街の裏手にあるあまり”よろしくない連中”が集まるパブ「スパイラル」だわ。ハイスクール時代に悪ぶってたアリソンと興味本位で入ったことがある。でも変な連中にナンパされて怖くなってすぐに逃げ出したんだっけ。最悪な思い出。ついでに店の名前も最低。」

しかめっ面をして吐き捨てる。

「そう?あなたにはお似合いなのに。」

麗しい彼女の声は何度聞いてもゾッとする。
振り返ると、室内に入ったあの煙がゆっくりと扉を閉めているところだった。

Made_Again_Act03.jpg

続く
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2014-08-29 : Made Again : コメント : 0 : トラックバック : 0
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遅い夏休み(犬島編その2)

前回の遅い夏休み(犬島編その1) 続き

曇りだったのに天候がかなり回復して晴れ間がのぞいて気温がぐんぐん上昇中。
美術館内でカフェがあったはずなので、そこでの休憩を計画してチケットセンターでチケットを購入していざ犬島精錬所美術館へ。

P8250069.jpg

錆びてます。ええ感じに錆びてます。

ゴカトウ先生の作品のなかで「鉄は錆びてこそ美しい」とのフレーズがあったことを思い出し、一人ほくそ笑みながら中にないります。

犬島精錬所の一部建物と三分一博志氏の建築、三島由紀夫をモチーフにした柳幸典氏の作品の3点がこの美術館のメイン。

点数は非常に少ないので人によっては肩すかしかもしれません。

個人的にはどれも素敵でした。

IMG_0380.jpg

館内のカフェでやっと一服。

すると今までずっと一人っきりだったのにぞろぞろと観光客の方がお見えです。

え?どこにいてはったの?と言わんばかりにわんさかご来場。

そういえば豊島からの船が10時ごろ着であったことを思い出し、かつ島内に幾つか宿泊施設もあったような気が・・・

一人でムフフなことにはならないことに気づき少しショボーン。

気を取り直して、今回の最大の目的はこの犬島精錬所の崩れた建物を見学。

P8250106.jpg

いいね。

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いいねいいね。

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いいねいいねいいね!

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いいねいいねいいいねいいね!

おじさん、我慢できずにムハーってしちゃうよ!フー、フー!・・・おっと失礼。

写真ではネット上で閲覧できる画像とまあ、変わらないものになっちゃいましたが、もうね、実際に見るともう、わたしの心は精錬所の煙突のようにエレクトしてますわ、ホンマ。

廃れっぷりが最高。

名残惜しかったけど、どんどん人が増えてきちゃったのでそそくさと退散しました。

あとは時間が早過ぎて入れなかった家プロジェクトを拝見。

一部チケットがないと入れないとのこと。

犬島はかなり人気のアートスポット。

観光客も多く、多くの方がブログ等で紹介して写真も多くアップされています。

私が取ったものもネットで拾えるものとさほど変わらないもので面白みも新鮮さもないので割愛致します。

しかし、実際に見るとぐっとくるものが多くておすすめです。

今回の旅は車使用で、母方の家の仏壇に手を合わせるついでに向かった旅行でけっこう距離が遠くてぐったりしました。

最後にワンショット。

P8250143.jpg

テクテクと歩いているとくつろいでいる猫と遭遇。

でも見知らぬ私にかなり警戒しているようでこの写真も後ろ向きで取ったものです。

残念ながら撫でさせてもらえませんでした。

さて、しっかりリフレッシュしました。

次回からはこのブログの本筋に戻って・・・えっと・・・イラストです!

Made Again の続きもアップします。

もうね、マジッスよ、ほんま、これから描きますよ、イラスト。マジで正念いれていきますよ。(苦笑
2014-08-27 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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遅い夏休み(犬島編その1)

旅行先が混むのが嫌なので毎年夏休み(盆休み)は1週間ほどズラすのですが、今年は2週間ずらしてやりました。

岡山県の犬島に行ってきました。

宝伝港から朝8時の船に乗り込みます。
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結構な数の若い人が船に乗り来んできましたが、皆さん島で働く人ばかりのようで観光なのは私だけのよう。

降りた後、ほとんどの人が営業前のチケットセンターに入っていきます。

素知らぬ振りをしていっしょに船に乗りましたが、あとで「いらっしゃいませ〜」とか「こちらの作品をご案内します〜」とか「チケット拝見〜」とか言われるのかなーって思うとすこし照れくさくなっちゃいます。

10分ほどで到着。すべてが10時からのオープンになるのでそれまでテクテク島を歩きます。

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町はまだ静かです。

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細い路地を通ります。

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大き過ぎて家に入れなかったワンコ。(ウソ、実は犬島ハウスプロジェクト)

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純白。

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海岸線をぐるっと回って南側、遠くに精錬所の煙突が見えます。

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島には点々とアート作品があります。
遠目で見ると、お?これもアートかなって思って近づくと、ただの捨てられた椅子でした。

P8250050.jpg

せっかくなので椅子をしっかり海側に向けて少し傾けてと・・・なんとなくアートっぽい。

雄大な海を前にして、美しさや安らぎよりも畏怖を感じている様を表しています。

作:泉 坂

ここはテントサイトのそばですが、椅子もさることながらいたる所にゴミが散乱しています。

キャンプしたひとたちが捨てちゃったのかなって思うと残念です。

P8250059.jpg

隣の海水浴場。

誰もいません。しばらくたたずんでいましたが誰も来ません。・・・あー!この離島でのシチュエーションで一人って最高!

ぐっとガッツポーズをしてもうしばらく一人を堪能します。

そういえば8時の船に乗った観光客は私だけとして、次に着く船は11時10分。

もしかして犬島精錬所美術館の客は私だけか?貸し切り状態で静かに堪能できるのか?っとムフフな妄想を抱きつつ元気にチケットセンターに向かいます。

ちょっと長くなっちゃうので、残りは次回。

2014-08-26 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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Mario Raven (マリオン レイヴン)

自分のやっていることに納得がいかない日々が続いております。

そんな時は愛する音楽の話題に。

私のLOVEな(まあ、LOVEはいっぱいいるんですが)Mario Raven。

アメリカから母国ノルウェーに活動を戻してのアルバムSongs from a Blackbirdをやっと入手。

だいたいはyoutubeで聞いていました。

市場の大きいヒットチャートにランクインする曲ではないでしょう。

消費者が喜ぶ甘ーいものやお涙ちょだいやわざとらしいエグ味はありません。

人によっては曲調が良くも悪くも少し古くさく感じるものもあるかもしれません。

ただそこに彼女の歌う姿があり、彼女の声があり、彼女の思いがあります。

M2Mの活動は成長期だったとしても、レコード会社との100万ドルの契約などの成功はさほどの問題ではなかったのでしょう。

大切なのは彼女の奏でたかった音です。

このアルバムはいままでにないMrionの意思が色濃く反映されたものでしょう。

とっても素敵なアルバムです。

今年は前半の半年はコニーウィリスとロウクロウで、残りの半年はこのMario RavenのSongs from a Blackbirdでなんとか精神を繋ぎ止めていけそうです。

この曲は一押し。

MARION RAVN - DRIVING


…嫁に来きてくんないかな?

新曲も継続していい感じになってます。

Marion Raven - "In Dreams"


あと俊樹さん、拍手コメントありがとうございます。
たくさん失敗しちゃったけどさわやか感を感じていただけて光栄です(^^)

2014-08-01 : 音楽 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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プロフィール

泉 坂

Author:泉 坂
イラスト描いてます。
靴も作ってます。

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